以前よりこの方の本は好きで読んでいます。
幻想小説もミステリーも好き。
そして、BLの本を読むハードルの高さを取っ払ってくれたきっかけもこの方の本だと思う。少年同士の関係性がとても美しくて、JUNE系とも言えるような耽美なものもある気がします。

今回読んだトマト・ゲーム。
これは初期の作品の短編集で、ずっと読みたいと思っていたのですが、過去のものは絶版になっておりなかなか手に入りにくい状況にありました。
今回はそれが再び発売されるということで、発売された直後にとりあえず買ったものでした。(文庫はすぐに返本、小口研磨されてしまうので欲しいものはすぐに買います)

巻末の解説によれば、過去「トマト・ゲーム」「アルカディアの夏」「獣舎のスキャット」「漕げよマイケル」「蜜の犬」で、74年に講談社からハードカバーで刊行。そののち文庫化の際に「獣舎のスキャット」「蜜の犬」が割愛されたかわりに「アイデースの館」「花冠と氷の剣」「遠い炎」が追加されて81年に刊行。
34年の時を経てこの度、上記すべてが収録されたものがハヤカワ文庫で刊行されました。

これはもう、買うしかないでしょ。と購入して1年近く寝かせていて本当にすみません…。
トマト・ゲームだけはすぐに読んで、これはじっくり読まないと最後まで行けない!と、後回しになったのでした。

図書館で借りる本も落ち着いたこのタイミングで、1日1篇か2篇ずつ、ゆっくり読んでいましたよ。
全体的に容赦無い感じで痛々しい。あと、発表されてから40年以上経過していたりして、舞台は日本なんですが今とは価値観が違っていて、読んでいると海外を舞台にしたものを読んでいるような変な気持ちになりました。

この方の本をいつかすべて読んでみたいなとずっと思ってます。
そのためには、皆川博子コレクションを購入せねばならないな。そして、きれいに並べられる書架がほしいなぁと…ぼんやり考えるのです。
最近、過去の作品の文庫化もちらほらとあって(「薔薇忌」「鳥少年」)、読むたびにうっとりぐったり。
ぐったりしながらも、いつかすべて読破しなければ落ち着かないというような気分にさせられていて、もう中毒症状が出ているとしか言いようが無いという感じです。

とりあえず買って読んでいないものも何冊もあるので、ライト文芸ばっかり次々読んでいないでたまには腰を据えてこういう作品を読まないといかんなと思う次第です。