こっちに来てからはまともに綺麗な夕焼けはあまり見たことがない気がします。
 田舎の夕焼けは本当に綺麗で、私は中学の帰り道にほんやりと2キロの道のりを歩きながらいつも空を見上げていました。

 ある日、やはり中学生の頃ですが、日暮れ前に学校を出て、友だちと歩いていたら、100mほど向こうにある建物の窓ガラスが真っ赤に見えました。
 私はとっさに、火事が起こったんだ!!と思ってとても慌てました。

 自分の帰る方向の道ではなかったのですが、友だちに何も言わないままその建物の方に向かってダッシュをしたのです。

 …ん?

 私が走るのに合わせるようにして変わる窓の色…。
 なんか変だ。

 よく見たら、それは火事ではなく、窓ガラスに反射する夕日の赤い色なのでした。

 そんな田舎の一コマをふと思い出した。それだけ。