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無花果とムーン

発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
価格: ¥ 1,680
発売日: 2012/10/20

 ずっと、一番大好きな作家さんであります、桜庭さんの新刊が出ました。
 野生時代で連載をしているのは知っていました。
 登場人物を野生時代のサイトで見た時『遠藤苺苺苺苺苺(えんどういちご)』の名前のインパクトが凄くて、読み始めるまでずっとイチゴが主人公だと思っていました…。

 ここ最近は割と硬派な印象の作品が多くて、少女を描いた作品は久しぶりな感じがします。
 そして、語りが主人公『月夜』の一人称。
 ずーっと『あたしは……』という文章が続きます。

 久しぶり過ぎて、慣れなくって読み始めは口から何かが出そうな感じになりながら読んでましたが…。
 読み進めていく度に、なんかすごい…すごい…と思い始めてそこからはそんな一人称も気にならないというか、逆に気持ちよくなる感じで最後まで読みました。

 SFのような、ファンタジーのような…。
 それでありながら、なんの謎も解明されない…。主人公の一人称なので読んだとおりにそうなんだーって納得できるわけではなくて、例えば周りの人間が月夜をどのように見てたのかとか…
 最後の大団円(?)のシーン含めて全部が月夜の妄想だったら…と思ったりすると、実はものすごく怖い話なんじゃないかと思えたりもしました。

 そういう意味でもやっぱりすごいです。

儚い羊たちの祝宴 (新潮文庫)

発売元: 新潮社
価格: ¥ 500
発売日: 2011/06/26

 古典部や小市民なんかを片っ端から手にとって読んでいました。
 そんな中で、もっと近年に発表されている作品も読んでみたいと思って手に取っています。

 簡単に言うと、ちょっと後悔するくらい怖いです。

 追想五断章を読んでいた時も、最初は三上延のビブリア古書堂を読んでいる時と変わらない気楽さで読み始めたのに、どんどんどんどん話が重くなっていって暗雲が垂れ込めてくる感じだったのに、今回読んだこっちは更に酷かった。

 作品は5章で構成されていて、登場人物はどれも違う。
 共通点は良家が舞台であるということ。それから『バベルの会』という読書サークル。
 この5章すべてが、後半になるにつれて、とんでもない恐怖を覚える。怖いのに読むことをやめられない。

 読後感もこれまでになく最悪であり、心地よさは皆無である。
 なのに、またこの著者の作品を読みたいと思ってしまう。麻薬のようだ。

 まるで、自分自身が殺人を犯してしまったような気持ちに囚われ、前後不覚の恐怖に苛まれるのでした。

 『玉野五十鈴の誉れ』は最後の1行を読んで、解説にも書かれていたように、なぜか笑ってしまう。こういう自分にも気づき、また嫌悪感に苛まれるのでした。

さよなら妖精 (創元推理文庫)

発売元: 東京創元社
価格: ¥ 780
発売日: 2006/06/10

 久々に新しく読了。繰り返し読んでるものはたくさんあるのですが、新たなストーリーを読もうと思うとなかなか腰を据えて読むことができずにいました。
 この本は、同じ著者のシリーズを読み終えたあとに、次に読む本としてブックカバーに入れてそのまま読まないでいました。私は大体前の本を読み終える前に次に読む本を決めていて、何年も使っているブックカバーに差し替えていく方法で読んでいます。

 と、前置きはこのくらいで。
 この『さよなら妖精』は、<古典部>シリーズの『氷菓』と『愚者のエンドロール』が発表された後、出版社を変えて、2004年に東京創元社より単行本で発表された、それの文庫版です。

 話の時代背景は1991年から1992年。主に初夏。
 最初、読み始めた時に『なぜこんな時代チョイスなのだ?』と思いましたが、雨の日に出会う日本人でないマーヤという少女が登場することで意味がわかります。マーヤはユーゴスラヴィアから日本に来ました。1991年はユーゴ紛争の年に当たります。

 主人公の守谷や他の登場人物は高校3年。
 彼らがマーヤに出会い、そして彼女と日々を共にし、彼女が疑問を抱く日本の文化や歴史などを教えていく合間に起こる日常の謎を中心に序盤ストーリーは展開します。

 感想ですが。
 読後感の悪さ(スライム状のものが喉の粘膜に引っかかっているような)は、他作品でも全体的にそんな感じで見受けられたので、まぁそうなんだろうなぁと思ってましたが、今回もやはりという感じでした。
 しかし、話の序盤からぐいぐい引きこまれて、最後まで飽きる部分がほぼ無く読了させられる本はあまり出会わないので感動しきりです。

 登場人物の描写がラノベ的だという感想も見ましたが、古典部や小市民にくらべたら、よほど一般書籍っぽいと思います。というか、こういうジャンル分けもよくわからないのですが…。ほどほどの重みと軽さを併せ持っている感じで、私個人はちょうどいい感じです。

 とにかく、ちょっと読んでみて欲しいと思う作品でありました。
 ミステリというよりは青春小説といった雰囲気で、高校3年生の初夏の甘酸っぱくてほろ苦い気持ちを少しだけ思い出せたり、羨んだり出来る作品でした。

春期限定いちごタルト事件 (創元推理文庫)

発売元: 東京創元社
価格: ¥ 609
発売日: 2004/12/18

 この著者の作品、氷菓は読んでぐんぐん夢中になりましたが、シリーズの既刊はすべて読み終わっているし、他の、今手持ちの積み本は長編のやつが1冊。あと読みかけの西尾維新『悲鳴伝』は、主人公のキャラが合わずになんとか半分まで読んだところ…(後半面白いといいなぁ)。
 あと触手モノのBL小説…は読みたい気分じゃない。

 というわけで、気になったものを買おうと買ったのが、〈小市民〉シリーズの1作目、『春期限定いちごタルト事件』でした。

 主人公、小鳩くんとヒロインの小山内さんは『小市民』になることで互恵関係を結んでいる。
 ジャンルは『日常の謎、ミステリー』と言われるもの。

 最初は短編かと思って読んでいくと、それが最後の方はひとつに収束されて一つの大きな事件解決につながっていく…といった感じ。
 このまとまって来た時の快感に癖になってどんどん読み進める感じです。

 もしかすると氷菓よりおもしろいかもしれなかったなぁ。
 そして、他の作品も読んでみたいなと思っています。
 インシテミルは映画で見ちゃったけど、そういう、もっとヘビーなミステリーも書かれているらしいので読んでみようかな…。とか。

 この度、どうも私は連続殺人事件が起こるタイプの小説を敢えて避けてるということに気が付きました。
 ホームズもクリスティもカーも読んでいない。
 でも、最近少し読んでみたいなと思い始めました。

 その前に私は作者買いをするタイプなので、米澤穂信作品をもう何冊か読みたいとおもってます。


〈小市民〉シリーズ

開かせていただき光栄です―DILATED TO MEET YOU― (ハヤカワ・ミステリワールド)

発売元: 早川書房
価格: ¥ 1,890
発売日: 2011/07/15

 外科医で解剖教室を開く、ダニエル・バートンと弟子たちと、田舎から詩人になるべくロンドンにやってきたネイサン・カレン。

 ダニエル・バートンは墓あばきから屍体を買っては解剖をしたり。
 ネイサン・カレンは慣れない都会で色々な目に遭ったりしています。
 舞台は18世紀のロンドン。
 あらゆる物に税金が課せられていたり、街は煤けて真っ黒。工業排水や汚水で酷い汚染のテムズ川。

 そんな時代背景で巻き起こる、謎の屍体。
 ここに隠していったのは誰か、はたまたこの屍体は一体誰なのか。

 やー、面白かったです。

 汚染された街と、耽美な描写がマッチして素晴らしいです。
 あと『チップを渡す』という行為が酷く野蛮なものに感じた作品でありました。

 久しぶりにステキミステリーを読んだなぁ!!と感じました。
 文筆業40年の著者。80代の女性が書いてると思うと益々胸がときめきます。

 個人的に、盲目の検事の助手であるアンのキャラクターが凄く面白くて好きでした。

マリア様がみてる フェアウェル ブーケ (マリア様がみてるシリーズ) (コバルト文庫)

発売元: 集英社
価格: ¥ 500
発売日: 2012/04/28

 久しぶりのマリみて。
 短篇集でしたがあいかわらずホッコリいい話でした。

 プライベートTeacherが好きだった。
 本編は終わっちゃってますが、あのあとどうなったのかな…っていうのも少し気になったりした。

 登場人物の名前が、音では古めかしいけど、漢字がさっぱり読めない。

デュラララ!!×11 (電撃文庫)

発売元: アスキー・メディアワークス
価格: ¥ 599
発売日: 2012/05/10

 風呂敷広がった11巻。
 TVシリーズのあたりは臨也が引っ掻き回してた感じがするものの、ここまで来るといろんな人がいろんな種火を持っていて、それがひとつになって大きな炎になって火災旋風になるのかな…という感じでした。
 罪歌のことも新しい事がわかって、あの人は切られちゃうし、どうでもいいと思ってたあの人はまた出てくるしでもう…。

 ただ、前巻がでてから1年近くも経過しているので、登場人物も多いし話も複雑になってるし、正直細かいとこまで覚えていられない。
 もうちょい細かいペースで出てたらもっと楽しめたのかもしれないのになぁ…と思うとそこだけは残念。

“朧月夜” ヒカルが地球にいたころ……(4) (ファミ通文庫)

発売元: エンターブレイン
価格: ¥ 651
発売日: 2012/04/28

深き夜のあはれを知るも入る月の おぼろげならぬ契りとぞ思ふ

 今回のヒロインは『朧月夜』こと『右楯月夜子』です。

 というわけで、源氏物語『花宴』を読みました…。
 なんていうか、藤壺に会えなくて宮中をウロウロしてたら朧月夜と出会って一夜を共にしてしまうという話でした。
 うん、知ってた。こういう話だって私知ってたよ!!

 ヒカルのシリーズは4作目。読み終わった後にぼんやりと源氏物語をよんでいたのです…が。
 ここに来て悟ったんだ。

 野村美月さんの可愛らしい綺麗な文章だけでこの物語を完結したほうがいいという事実にな。

 …というわけで、もう知らないままでいいという結論に至りました。
 さて、今回の月夜子は赤毛が印象的で、御色気たっぷり…かと思いきや。
 思いの外繊細で素敵な女性像でした。

 今回のこの月夜子ですが、髪色での性格分類をすると赤毛は、『赤毛のアン』にイメージされるような感じでお喋りで、短気で…と言ったイメージが多いような気がしますが、一見月夜子はブロンドにありがちなセクシーなイメージだなと思いました。

 それから、話全体の感想ですが、

 前半は帆夏視点の描写が出てくるのですが……顔文字ウッゼ(笑)
 会話で『万が一』のことを『まんいち』って書いてあるのは、しばらく話に入り込めなくなるほどの違和感を覚えました…。万が一って言えばいいじゃんよ…。

 でも、帆夏好きですね。可愛いんだもん…。

ふたりの距離の概算

発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
価格: ¥ 1,470
発売日: 2010/06/26

 古典部シリーズ、出てる分全部読了。

 主人公達の学年が上がって2年になり、初夏のマラソン大会。
 古典部にも新入生が入るけど、そこでまた事件が起こってきてー…。

 ほとんどが過去の回想で進んでいきますが、ホータローはもうすでに自身の信条からは外れてると思う。
 でも、そういう変化の部分も今後進展があるのだろうなぁ…という感じ。
 新入生も騒がしそうだし、今までの雰囲気をぶち壊してくるのかと思いきやそうではなかった。

 シリーズ読んでみての感想だけど、最初の1巻は伏線はわかりにくいし、読後感が気持ち悪いし…(今巻でも相変わらず読後の気持ち悪さは引きずっていますが(笑)とイマイチだなぁと思うところも多分にあって、でも全体的にノスタルジックな雰囲気とかがすごく好みだったので、読んでるうちにハマって今に至ります。
 特にクドリャフカはアニメでも観るのが今からとても楽しみ。

 アニメのネットでの評判はアレですが、私は今期一番好きかな…。
 原作者と同じ年齢らしく、世代感なんかも近いであろうと思えるので、そういう意味でも懐かしく高校時代を振り返れたりして、そこも面白いと思える理由なのかもね。

遠まわりする雛 (角川文庫)

発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
定価: ¥ 660
発売日: 2010/07/24

 4冊目まで読了。
 この1冊は短編集で、1~3巻までの間のストーリーが時系列で並んでました。

 後ろの2編、『手作りチョコレート事件』と『遠まわりする雛』ではちょっと恋愛の色が出てきて、ほろ苦いかんじの雰囲気になってきて、ちょっとドキドキしました。

 次巻はまだ文庫化していないので、単行本を注文。
 1巻ではあまり消化不良の感じもしていましたが、読むたびに世界観に引きずり込まれて現在に至ります。
 他の作品も読んでみたいなと思ってます。

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