97年の秋にこの世を去った、85歳だった母方の祖母。

 生きている時には、娘(私の母)のところに仕事が終わると毎日のように遊びにきて、うちでTVみて字幕は音読するんだけど読み終わらないうちに画面が次に行っちゃって、それでもその度に同じことを一生懸命繰り返す人でした。

 仕事は、80歳代前半まで続けてました。この仕事は自分にしか出来ないと言って。…わたしにはわからないですが誇りを持って働いていました。
 さまざまな面でだらしのない嫁と、シャキシャキした祖母では何十年と一緒に暮らしても分かり合えないところがあったんでしょう。そりゃ、環境が違うところで生まれ育った他人ですもの。
 その分本家の孫(私の従姉)はおばぁに良く似た、しっかりした人になったみたいですよ。
 おばぁ、よかったね。

 私は満足に働けない、社会不適合な人生を送ってますけれど。

 車で15分もかかる病院に行った帰り、本家が留守だったからって家まで歩いて帰ってきちゃうような、そんな祖母。
 あたしが生まれた時にはもう亡くなっていた祖母の旦那は、昼から酔いどれて管巻いていて、いつも祖母が叱り付けてたんだって。

 60代で大腸がんになって、手術して人工肛門つけて、でも完治して。
 旦那も心臓止まってコロっと亡くなって。それから20年以上も一生懸命生きてきた祖母。

 年齢的にも心臓が弱ってきてたのは知ってた。
 亡くなる数年前に、家の草むしりしてて尻もちついて、腕を骨折した。

 97年の8月25日の午後に、急に発作を起こして入院した。
 私が自動車教習所の卒研受かったその日だったから、絶対忘れない。

 そこから数ヶ月の入院生活。
 本家の夫婦がお見舞いに来てもそっぽを向いて何も言わなかったらしい。
 亡くなる数年前から金銭的なことでトラブルがあって、預金通帳をうちの母に預けていた。

 2ヶ月ほど入院をして、この世を去った。
 悔しいのは、死亡原因が胃潰瘍だったことだ。

 入院する数ヶ月前から、下痢をすると聞いていた。
 人工肛門だから、(最近のは違うかもしれないけど)下痢をすると止められない。
 だから、何十年も食べ物とか健康管理に人一倍気を使ってきた人だ。

 変だねぇ…って言ってたけど、それが家族間でのストレスによる胃潰瘍だったなんて、最後まで誰も知らなかったんじゃないかな。

 気丈に生きてきた人が、自分の体を壊してまで貫いたその精神力。

 わたしにもちゃんと受け継がれてるのかな?

 あれからもうすぐ10年。
 時間が経つのって早いなぁ。

 ねぇ、生きてる時に孝行出来なくてごめんね。
 いつまでも世間知らずの孫だったね。ごめんね。

 あなたは、とても強く、何でも出来て、ちっちゃくてカワイイ私の尊敬できる人です。

 私は、あなたのような人になりたい。