新潮文庫nexという、新潮の新レーベルが9月から発売になったということで少し楽しみにしていました。
ジャンル的には、ライトノベルと一般文芸の間くらいのところになるそうです。
図書館で予約して借りたんですが、毎日図書館のサイトをチェックしていて偶然一番最初に借りられたので、すごくきれいな状態で読むことが出来ました。
でも、新潮文庫なのにスピン(栞の紐)がついていないのは少しショック。紙質もラノベとかの感じでありました。

内容ですが、総合病院を舞台にしたライトミステリ。
唯我独尊な感じで、でも案外カンタンに心が折れる童顔の天久鷹央と、彼女に振り回される主人公の小鳥遊優。
キャラの性格的には桜庭一樹著GOSICKの久城とヴィクトリカを思い出したりしてましたが、あんな感じ。
更に研修医の鴻ノ池と、キャラが立った人たちがわんさかと出てくるので楽しく読めました。
登場人物の名前も『たかなし』に対して『鷹央』だったりの遊びがあって面白い。

内容は短編をつないで1本の作品になっていました。
小学生が見たカッパの謎を解き明かす『泡』。深夜の病棟で看護師がみた人魂の謎を明らかにする『人魂の原料』。中絶した高校生がなぜかまだ妊娠している『不可視の胎児』。プロローグからつながる『オーダーメイドの毒薬』と、どれも楽しく読めました。
病院が舞台であっても重くなく、でも作者の方は元々お医者さんだそうで薬のことや病院のこと自体はリアルに描かれていてそれでいて読みやすい。
続きが出ることがあるのならばぜひ読みたいなと思える作品でした。