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砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない  A Lollypop or A Bullet (角川文庫)

発売元: 角川グループパブリッシング
価格: ¥ 500
発売日: 2009/02/25
売上ランキング: 9507
おすすめ度 3.0

 富士見ミステリー文庫から2004年11月に出版された後、作者が一般書籍のジャンルに足を踏み込むきっかけになったらしい作品。
 更に、2007年3月に角川書店から単行本で出版され、今回、角川文庫で再び出版された、なんか変な感じのする本ですね(笑)

 古くからのファンにしてみれば、今更なぜまた文庫で出すのか意味がわからない部分もあるような気がしますが、いわゆるラノベに手を出しにくいし、単行本を買うのはちょっと…という場合、『直木賞作家の過去の作品かー』というスタンスで読むにはちょうどよさげな気がします。
 それにしても、富士見のを持っているのについ買ってしまう私のような人もいるのでは…なんて(笑)

 改めて読んでみると、最近読んだ『ファミリーポートレイト』や、その他の作品の原点的な香りが、とても漂います。
 そして、読み返してみて「…好きだなぁー」としみじみ思い返す感じです。

 手軽な感じでは漫画も出てるので、ぜひ知って欲しい作品です。

ロリータ (新潮文庫)

発売元: 新潮社
価格: ¥ 900
発売日: 2006/10
売上ランキング: 13753
おすすめ度 4.5

 若い女性が持っていた新品の白いハンドバッグの中に奇術師がミルクと、糖蜜と、泡立つシャンペンを注ぎ込んだのに…(略)

 約1ヶ月、この本の世界に出たり入ったりしていました。
 話は大きく2章に分けられており、前半は語り手ハンバートの気持ちの悪い妄想が主に描かれており、後半はハンバートのロリータとの逃避(?)について描かれています。

 正直、感想という感想はあまり持てないくらいよくわからない話だなぁ…。という感じなのですが、世間的に思われているいわゆる『ロリコン』のイメージと、この作品のイメージは、思っているのよりだいぶ離れているなと感じました。
 後書きの作者の言葉にあるように、私たちが国語の時間で習ったような、
『この作品には作者のどういったメッセージがこめられているのか』
 というような問いかけは無駄に等しく、更にエンターテイメントでもない、そんな作品でした。

 アメリカの作品だけど、ロシア人の考えは理屈っぽくて難しいなー…と改めてそんな印象が芽生えた作品でした。

狭き門 (新潮文庫)

発売元: 新潮社
価格: ¥ 420
発売日: 1954/03
売上ランキング: 7651
おすすめ度 4.5

 狭き門より入れ、滅にいたる門は大きく、その路は廣く、之より入る者おほし。

 パリ生まれのアンドレ・ジッドが1909年に書かれた小説。
 主人公のジェロームは従妹のアリサに恋心を抱く。
 相思相愛のジェロームとアリサだが、アリサは自己犠牲の精神で主の身元へ向かう…。

 読み始め…なんかよくわからなかったです。
 ジェロームは妙に理屈っぽく、アリサは凄まじい信仰心がなんとなくうっとおしい気がしました。
 だけど、昨日最悪の状態で読んだら、なんとなく共感できる部分もあるような気がしました。

 小説の内容よりも、後ろに書いてあるジッドの生涯の解説が面白かったです。

マリア様がみてる―ハローグッバイ (コバルト文庫)

発売元: 集英社
価格: ¥ 480
発売日: 2008/12/26
売上ランキング: 61
おすすめ度 5.0

 やっと…読んだ。
 アキバに行った相方に頼んで買ってきてもらいました。

 終わり方が、好みでした。

 10年もの長い長い1年半。
 私は初めて読んだ時は2003年の夏でした。
 そもそも『マリみて』とは何ぞや?という所からはじまって、
 なんかすげぇユリンユリンなコバルトの小説があるらしい…と知って、1巻を購入。

 やべぇ、面白いコレ…

 という経緯だったのですね。
 そーいえば、今アニメやってるけど見てないなぁ…。
 相方(マリ見て未読)が『意味がわからん』と突然部屋に来て、アニメやってることに気付きました。
 見ようかな…。

 ところで。。。

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 ラノベ棚が、飽和状態になってきました。
 そもそも、『コミックス』『大型コミックス』『ラノベ』『その他一般書籍』がバラバラな場所に保管されているので、不便なことこの上ない。
 そろそろ、本棚考えないとダメだなぁ。

“文学少女”と恋する挿話集 1 (ファミ通文庫)

発売元: エンターブレイン
価格: ¥ 651
発売日: 2008/12/26

 文学少女シリーズの短編集です。
 FB Onlineなどで連載されている短編と書下ろしが、絶妙なバランスで詰まっています。
 本編が、井上心葉の視点で描かれているのに対して、この短編集は色々な人の視点から描かれています。

 でも、誰の目を通しても遠子さんは変わらない。
 そして、今までよりも甘いストーリーが詰め込まれていました。

 やはり、回を重ねても傑作は傑作なのです。
 遠子さんから語られる物語や作家の話は、とても魅力的で、いつも『読んでみたい』と思ってしまいます。
 WEBでの連載は、文庫で出た時に読みたいと思って読まずに我慢していて、やっぱり、本の状態で読んでよかったなぁー…としみじみ感じました。

   + + +

 題材作品一覧。

 ツルゲーネフ『はつ恋』
 菅原孝標女『更級日記』
 小林多喜二『蟹工船』
 『万葉集』
 ロンゴス『ダフニスとクロエー』
 エリナー・ファージョン『ムギと王さま』
 小川未明『赤いろうそくと人魚』
 ロバート・A・ハインライン『夏への扉』
 オスカー・ワイルド『サロメ・ウィンダミア卿夫人の扇』
 ポール・ギャリコ『スノー・グース』

不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界 (講談社ノベルス)
不気味で素朴な囲われたきみとぼくの壊れた世界
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 840
  • 発売日: 2008/12
  • 売上ランキング: 200
  • おすすめ度 3.0

 タイトルながっ。
 出ると買って読んでるシリーズのひとつ。

 2作目の不気味で素朴な囲われた世界の14年後のお話。

 …おおぅ。

 よくわからないー。
 病院坂迷路のバックアップ(この辺がすでによくわからない)が動き回るのを、串中弔士が精神的操作をしてるような…。
 そんな感じで学園七不思議になぞらえた見立て殺人が起こるという。
 そんなストーリーでした。

 とりあえず、イラストと名前に騙されてはいけない…。

 内容は、星つけられない。
 私はあまり好きじゃないけれど、こういうのを好きだと思う人も居るのかもなぁ。

 衝撃的なことで言えば、R.O.D 10巻の次くらいに衝撃的だった…(R.O.Dのほうは、出だしから少女小説のあとがきか!?という語り口調で本編が始まった…でも、最初違和感あっただけで、慣れた)。

ファミリーポートレイト
ファミリーポートレイト
  • 発売元: 講談社
  • 価格: ¥ 1,785
  • 発売日: 2008/11/21
  • 売上ランキング: 741
  • おすすめ度 4.5

 ふと、相方と話していてここのところの時間経過の早さが尋常じゃないことに気がつく。
 私は、曜日感覚も日にちの感覚も消え失せて、今日はうーんと、7日か、みたいな感じでカレンダー確認しないと全然分からないし、今月に入ってもう1週間経ったなんて、言われるまで気付かなかった(というか、12月になった実感もあまりない)。

 この前なんか、式が終わったら自分は最期を迎えるんじゃないかと、ふと気になって、でも猫の世話が出来るのは私だけだからなぁ…とか、実はもう28歳の最後の日に私は死んでいて(なぜか小さい頃から28歳以降の自分の人生はないと思っていたので)、ここは現実じゃなくって、夢を見てるのかなぁ…とか、よくわけのわからないことを考えたり。

 この準備の最中に、2週間もかけてどっぷりと『ファミリーポートレイト』の世界に身を潜めてたからだ…というのも感じる。
 読んで、コマコの世界にどっぷり浸かりつつ、自分の小さい頃のアルバムめくってたら、そりゃ本と現実の区別もつかなくなるなぁ…と改めて思う。

 この本を読んだ時、私のいちばん好きな本はデュ・モーリアの『レベッカ』だけど、ちょっと順位が揺らいだ。
 ファミリーポートレイトは色々な人に薦めたいなぁ…と思う本なのだけど、でもその前に桜庭作品を読書日記も含めた上で読んでからじゃないと楽しみが少し少なくなるような気がした。

 あと、好き過ぎて汚されたくないという思いもあって、読み終えてから感想を書くまでに時間があいた…。

 とにかく、東京の雑踏を心地よく感じるようになったのは、紛れもないこの本の影響だなと改めて思う。

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いま、血を流しているところなのよ、パパ。なぜ、だれのために? パパのために、そしてパパを愛していたためです。もちろん。

 本を読んで、こんなに荒廃した気持ちになったのは初めてだ。
 なんというか、とにかく後味が悪い。

 面白いという表現は違うと思う。
 ただ、非常に魅力的な文章の集合体ではあった。
 古めかしい日本語がなんとも美しい。

 それと、近親相姦などの愛の描かれ方が、絶望的にどす黒くて埃っぽい血のようなものに感じた。

 これが相反して、偉いことになっている。

 これが書かれた昭和40年。
 舞台は学生運動で荒れた東京。

 主人公の未紀はパパとあいしあっていて、俗世には軽蔑の目で見ている。
 Kは学生運動の後代々木を抜けて自分たちの集団を作り、悪事を働いていた。強盗や、乱交パーティや誘拐強姦。

 そんなふたりの間の空気はとても清潔なのだ。
 美しくて、読み手の心をざらざらにしていく。

 セピア色の映像をずっと頭に思い浮かべながら読んでいました。
 今はもう古いものとなってしまった風俗なんかが、いい色合いを見せます。

 私は、飲んだらいけない麻薬に恐る恐る手を出してみたら、読み終わるときに薬が抜ける禁断症状が出たように、非常に苦しい思いをしました。

 そして、リアルに睡眠薬と安定剤を口に運びました。
 はぁ…感想書いたら落ち着けた。

 軽く、作中で出てくる薬の説明など。
 ハイミナール…現在製造中止の催眠鎮静剤。成分は非バルビツール酸系のメタカロン。
かつては市販薬だった。睡眠薬としてよりも、いわゆる合法ドラッグとしての利用が多かったようである。この中毒患者は俗に “ハイ中” と呼ばれた。
服用すると言語中枢や運動中枢が犯され、いわゆるラリった状態になる。
後に長期連用で痴呆になるという報告があったことから、製造が中止されることとなった。
 リキグリーン…モカとかと同じ用に恐らくドリンク剤でカフェインが入っているやつみたいです。

 あと5年くらい大人になったら、もっとこの小説を受け入れることが出来るだろうか?今の私には未知の世界だし、男女の営みもなかなか受け入れられない私なので、面白さは半減以上だったんだろうなとおもうと悲しいです。

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メリキャット お茶でもいかがと コニー姉さん
とんでもない 毒入りでしょうと メリキャット

村の真ん中にフェンスで囲われたお屋敷。
そこには娘ふたりと老いたおじさんが住んでいる。

ストーリーはメリキャットの視線で進む。
最初はなんと酷い村人だろうと思う。

が、この読まれていることの一体何が真実なのか、どこからがメリキャットの妄想なのか、分からなくなる。

こんなに淡々と語られ、何も真相は分からない。
ただただ、むずがゆく怖い。

オススメです。

アムステルダム (新潮文庫)
アムステルダム (新潮文庫)
  • 発売元: 新潮社
  • 価格: ¥ 500
  • 発売日: 2005/07
  • 売上ランキング: 14110
  • おすすめ度 3.5
─「OK、ただしひとつ条件がある。君も同じようにしてくれること。V」

 愛の続きを読み終えた勢いで、このまま続けて読んでやるぞー!と読み始めました。
 贖罪を読んだ時も、愛の続きを読んだ時も、緩やかに退屈にしんどいまま前半読んでいって、後半のある瞬間から唐突にページをめくる手が止まらなくなります。

 この、アムステルダムは比較的薄いので全体的にさっくりいけるかなーと思いきや。
 …やっぱり前半はかなり突っかかりました。
 4章あたりからかなりスピードアップしたなぁ。

 そして、わたしが引っかかったのは、編集長であるヴァーノンの性器の表現のところです…。
 なんていうか、文庫の118ページ5行目あたりからの表現が、読んでいて『あぁ、マキューアンの小説なんだな』なんて思ってしまうくらい。
 このアムステルダムより過去の作品はあらすじを読むだけでも(そういう意味で)凄そうなので、是非そのうち読んでみたいな…と思います。連続は疲れたので、またそのうちに…。

 話は、モリーという女の葬儀から始まり、その女を取り巻く愛人たちがもつれあって、ストーリーが進んでいく。
 内容は全然違うけど、仕立てが三谷幸喜の『THE 有頂天ホテル』みたいだなぁ…と感じました。
 同じ舞台の上で、視点が次々と変わりながら大波に乗ってストーリーがこっちに押し寄せてくるみたいな。
 ストーリーの内容は暗い感じがするものの、エンターテイメントとして凄まじいなぁ…と、圧倒されっぱなしです。
 まぁ、最後どうなるかは読み初めでなんとなく想像はつくものの、それでも最後数行になっても気が抜けない。

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