皆川博子という作家の存在を知ったのは、桜庭一樹の読書日記だった。
耽美な世界観と薔薇モチーフに魅力を感じて読んだのが最初。

それから、少しずつ読んだりなかなか読めずに積んだりしている。

新しく出版される、もっと気軽に読める本ばかり数をこなして、こういう時間がかかるものは全く読めないまま時間ばかりが経過している。
近年、日下三蔵さんという編集さんが深い愛としか思えない熱量でもって、皆川博子作品を再び出版し続けている。
読み始めてすぐの頃新刊で読める本はあまりなく、古書を探しては手にとっていた。私の家にある薔薇密室も、総統の子らも、死の泉も、恋紅も古書です(もっとあるけど)。
当時の古い本だからのめり込めるというのもあったと思う。今どきの絵柄の表紙や新しい紙では物足りないなと思ったりもする。

だけど、古書ですらなかなか巡り会えなかったような短編が近年出版されるので、文庫で出る分には買ったり、積んだりしていた(積んでるのは新しく出版された長篇ばっかりで短編は結構読んでるけど)。
そんな中、当時流行だった新書でミステリを結構多く書かれている事は知っていても、こればっかりは読む機会はないだろうなとなんとなく感じていた。

そんな中燦然と現れた『皆川博子長篇推理コレクション』だ。
3,000円の全4巻。うーん、これは買うのは難しいかなと感じていた(同じ理由で皆川博子コレクションは買えていないから)。

そんな折、ネットで見かけた軍艦島の写真が妙に気になってWikipediaで記事を読んでいた時のこと。舞台とした作品という項目に皆川博子『聖女の島』というのが載っていた。これがかつて講談社ノベルスから刊行された作品だということで、それ系の作品に俄然興味が湧いて、この全4巻を購入しようと思うに至った。まあ、聖女の島は幻想ホラーらしいので推理とは違うようだけど。

e-honで注文をして届くまでの間に読んでいた似鳥鶏の『難事件カフェ2』を読んでいたところ、推理作家と並んで皆川博子の名前が出てきたので、これは読む運命だなと感じる。