発売元: 文藝春秋
価格: ¥ 1,550
発売日: 2007/10/30
読み終わりました。ので感想などを。
まず、この作家さんは女性です。
…というわけで、今回はちょっと泥臭いというか生臭い?話でした。
『少女七竈と七人の可愛そうな大人』や『赤朽葉家の伝説』でもちょこっとは性描写が出てくるのですが、今回は今までのような生易しいものではなく、本当に生々しいものでした(私が読める範囲で…)。
…それでいて、どこかさらりと乾いた感じもあるんですが…。
序盤に色々隠し事があって、話が進むにつれ、過去に遡っていくのでその詳細が明らかになっていくのですが、序盤に気になったことの結末は書かれていないので、ちょっと気になるまま終ってしまったかなぁ…という感じもします。
でも、よく考えるとそれが狙いなんじゃないか…という気もします。
この方の本は、現実味が薄くて、でも何処かに居るんじゃないか…と思わせてしまうような臭いもして不思議です。
『淳悟』と『おとうさん』(同一人物)と『お父さん』(別の人)の使い分けが絶妙。
正直『おかあさぁん』にはドン引きしたんですが…(読むと判ると思います)、だからこそ『花』の『私の男』というフレーズがとても印象的になるんだろうな…。
文章に、狙ったように平仮名が多く使われていて、それで居て会話口調など、独特なものが多くて、癖がある…と思うので好き嫌いがはっきりと別れるんじゃないかな…と思います。
今回のこの本は、とくに激しく分かれるんじゃないかな…と思いました。
私は、この作家さんの独特の文章にとても惹かれて読み続けているので、どんな内容でも結構すらりと読めてしまいました。
…初めて読んだのはライトのベルの『GOSICK』だったのですが、私は最初にあとがきをぱらりとめくって、ネタバレが無さそうなら読んでから本文を読むんですが、あとがきにいきなり『狛犬を盗んだ友人』の話と、『金パンツ』の友人の話…。もうびっくりして、面白くて、最初に女性の方が書いてるんだなと判ったので、すんなり引き込まれた部分もありました。
ラノベで絵がカワイイやつって、男性が『萌え要素』を狙って書いてるのが多くて、そういう類の本はあまり好きになれないのですが、女性の書くカワイイ女の子というものは、やっぱりとても魅力的に思えるからです…。
と…、色々書きましたが、この著者の本を読むなら他の本を読んでからのほうがいいような気がします…。
最初に何を?と訊かれたら凄く困ってしまいますが…。
『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』あたりからがいいのかなぁ…。ラノベと単行本両方出てますし…。