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いま、血を流しているところなのよ、パパ。なぜ、だれのために? パパのために、そしてパパを愛していたためです。もちろん。
本を読んで、こんなに荒廃した気持ちになったのは初めてだ。
なんというか、とにかく後味が悪い。
面白いという表現は違うと思う。
ただ、非常に魅力的な文章の集合体ではあった。
古めかしい日本語がなんとも美しい。
それと、近親相姦などの愛の描かれ方が、絶望的にどす黒くて埃っぽい血のようなものに感じた。
これが相反して、偉いことになっている。
これが書かれた昭和40年。
舞台は学生運動で荒れた東京。
主人公の未紀はパパとあいしあっていて、俗世には軽蔑の目で見ている。
Kは学生運動の後代々木を抜けて自分たちの集団を作り、悪事を働いていた。強盗や、乱交パーティや誘拐強姦。
そんなふたりの間の空気はとても清潔なのだ。
美しくて、読み手の心をざらざらにしていく。
セピア色の映像をずっと頭に思い浮かべながら読んでいました。
今はもう古いものとなってしまった風俗なんかが、いい色合いを見せます。
私は、飲んだらいけない麻薬に恐る恐る手を出してみたら、読み終わるときに薬が抜ける禁断症状が出たように、非常に苦しい思いをしました。
そして、リアルに睡眠薬と安定剤を口に運びました。
はぁ…感想書いたら落ち着けた。
軽く、作中で出てくる薬の説明など。
ハイミナール…現在製造中止の催眠鎮静剤。成分は非バルビツール酸系のメタカロン。
かつては市販薬だった。睡眠薬としてよりも、いわゆる合法ドラッグとしての利用が多かったようである。この中毒患者は俗に “ハイ中” と呼ばれた。
服用すると言語中枢や運動中枢が犯され、いわゆるラリった状態になる。
後に長期連用で痴呆になるという報告があったことから、製造が中止されることとなった。
リキグリーン…モカとかと同じ用に恐らくドリンク剤でカフェインが入っているやつみたいです。
あと5年くらい大人になったら、もっとこの小説を受け入れることが出来るだろうか?今の私には未知の世界だし、男女の営みもなかなか受け入れられない私なので、面白さは半減以上だったんだろうなとおもうと悲しいです。
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