無花果とムーン

発売元: 角川書店(角川グループパブリッシング)
価格: ¥ 1,680
発売日: 2012/10/20

 ずっと、一番大好きな作家さんであります、桜庭さんの新刊が出ました。
 野生時代で連載をしているのは知っていました。
 登場人物を野生時代のサイトで見た時『遠藤苺苺苺苺苺(えんどういちご)』の名前のインパクトが凄くて、読み始めるまでずっとイチゴが主人公だと思っていました…。

 ここ最近は割と硬派な印象の作品が多くて、少女を描いた作品は久しぶりな感じがします。
 そして、語りが主人公『月夜』の一人称。
 ずーっと『あたしは……』という文章が続きます。

 久しぶり過ぎて、慣れなくって読み始めは口から何かが出そうな感じになりながら読んでましたが…。
 読み進めていく度に、なんかすごい…すごい…と思い始めてそこからはそんな一人称も気にならないというか、逆に気持ちよくなる感じで最後まで読みました。

 SFのような、ファンタジーのような…。
 それでありながら、なんの謎も解明されない…。主人公の一人称なので読んだとおりにそうなんだーって納得できるわけではなくて、例えば周りの人間が月夜をどのように見てたのかとか…
 最後の大団円(?)のシーン含めて全部が月夜の妄想だったら…と思ったりすると、実はものすごく怖い話なんじゃないかと思えたりもしました。

 そういう意味でもやっぱりすごいです。