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私の男の映画を観に、新宿まで行ってきました。
最初はもっと近場の映画館に行こうと思ってたんですが、ネット予約が出来なくて不便だったのでいっそ新宿でもいいんじゃないかなということで。

新宿の映画館は色々行きましたが、ピカデリーは初めてでした。
紀伊國屋書店でフラフラして、アニメイトに寄って、目の前なのですごく行きやすい場所でいいですね。

映画の感想ですが。ネタバレするよ!! と、先に言っておきます。

…いくよ?(そして長いよ)

映画館の中は想像していたよりずっとたくさんのお客さんが居て、水曜日なこともあるのでしょうがそれにしてももっとマニアックな感じで上映するもんだと思ってたので驚きました。2番スクリーンで結構広かったです。
私はもともと原作者ファンで、ハードカバーの本が発売してすぐに読みました。
原作では、花の結婚式からはじまって、徐々に過去へ。
過去へと時間が遡っていく中で、押入れに隠された死体の謎やら、花と淳悟が本当の親子だとか、花が9歳の時に奥尻島の津波で家族を失ったこととか、色々なことが明らかになります。
原作では、基本的に花の一人称。時折、他の人から見た花と淳悟というのが描かれます。

映画では時系列が元に戻って、9歳からはじまって24歳へ。
視点も、周囲から見た花と淳悟という感じで描かれていました。
周囲から見ている分、タブー感が強い感じがして、周りが『あのふたりはおかしい』と思っていることが強烈に伝わってきました。読んでた時は、少女のところに感情移入していたので、そんなにいけないことだとは感じなかったんですが、同じように少女目線で映画を作ったらモノローグだらけになっちゃうもんなぁと、なんだか納得。

ただ、こんなにラブシーン多かったかなぁ…?というのがどうしてもわからなかったですね。ラストシーンも花にあんな表情をさせる必要があったのかどうか。とはいえ、淳悟の指を咥えて上目づかいの花は本気で、そこらのAV女優よりエロいんじゃないかと思った。
というか、この作品は男性からすると、こんな世界に見えるのかなぁ…おとこのひとって直結でエロに結びついちゃうんだなぁと、そんな感想。女性が映像化したらもっと違うものが出てくるだろうなぁって。そんなに誘う表情じゃなくて、もっとあざとい感じになったんじゃないかなぁと思います。
あとは、私が原作で好きだったシーンがことごとくカットになってたのは残念だったかな。
東京に引っ越すときの、友達の章子との会話「こころのほうが、汚れ、てるの」と打ち明けるところ。
淳悟が花を抱きながら「おかあさぁん」っていうところが、無かった(というか、9歳の娘との近親相姦のシーンはR15でもムリだろうけど)。
あと、カメラはメガネに変更になってた。

「おかあさぁん」はなかったけど、代わりに、おとなになった花の帰りを淳悟が外で待ってるシーンで、その時に首に巻いてるマフラーが、昔、巡視船の仕事を終えて帰ってくる淳悟を外で待ってる中学生の花が巻いてた赤いマフラーで、それは気持ち悪いなぁと思った。

役者さんのこと。
二階堂ふみさんは19歳だと思えないような不思議な大人っぽさと少女さが混在していて面白い役者さんだなと思いました。あと、ラブシーンの呼吸が死ぬほどリアルでエロい。
浅野忠信さんは、「淳悟が実写になったら誰がやるだろう?」という話の中で結構多くの意見があった方らしい。なんかわかる。でも淳悟と言うよりは『砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない』の海野雅愛のほうがピンとくるなと、映画をみた帰りがけに思った。……まぁ、結局同じ人か?(藻屑=花らしいので、雅愛=淳悟なのだろうと想像。)

映画では鎖野花がすごく怖い子供として描かれていてびっくりしたんだけど、でもまぁ…冷静になって考えてみると気持ち悪いと思う。
原作を読んだ時も、共依存で危うくて生臭い感じで…。結局なんなの? と思ったりしたんだけど、映画は時系列が変わったことでミステリー要素も無くなってしまって余計にだからなんなの? と思うだろうなぁと感じました。後味の悪さが良さでもあると思うけど。

花は9歳まで奥尻島の民宿を経営をしている竹中夫婦の娘として育てられたわけだけれど、小さい時から他のきょうだいとはちがう疎外感を味わっていた。
それは、花はほんとうは育てられた父親とは血のつながりがなくて、母と、当時中学生で竹中家に預けられていた淳悟との間に生まれた娘だったわけで。
育ててくれた竹中の父親が津波の中、花をおぶって逃げていて、転んだ母を助けに戻る際、花を別の人が避難している軽トラの荷台に乗せて『生きろ』って言ったシーン……は、映画にはなかったんだけれど、父親はどういう心境でそう言ったのか…とかいまだに考えます。

売りになっている流氷のシーンは、本当にすごいなと思った。
あそこの、大塩さんと花の演技がほんとうに、すごくて、あー見に来てよかったと思った。
その後の淳悟の服を脱がせ始める花のシーンは、淳悟の胸毛に気を取られてちゃんと見れなかった。びっくりした。

なにはともあれ、見に行けて良かった。